オーベルジュ・マルク・ヴェラ

リヨンでレンタカーをして、サヴォア公国の首都だったシャンベリーにも寄らず、アルプス路約150キロを次第に高度を上げつつ2時間弱のドライブ、アヌシー湖畔のオーベル
ジュ・マルク・ヴェラにはちょうど5時に着いた。
正門

湖畔側からのホテル

テラスから見たアヌシー

テラス
桟橋

ティラウンジ



友人から推薦された2009年、ここはミシュラン3つ星だった。今年の評価は1つ星である。どうやら料理人が変わったらしい。レストラン名も正式にはヨアン・コンテであり、マルク・ヴェラの弟子と名乗っている。
部屋はロッジ風で広く、テラスからの眺望も申し分ないが、一泊450ユーロはちと高い気がした。バスタブはなくシャワーのみ。部屋は長期滞在キッチン付きのホテルだったころの名残りで冷蔵庫はもとより食器洗い機まで付いてはいたが、我々には無用だ。
ネットで調べてみると、マルク・ヴェラ氏がシェフだったころ、ミシュラン3つ星に加えて、ゴーミヨで前代未聞の20点満点の評価だったとのこと。これは期待できる。

夕食の予約は8時、勇んでレストランへ降りた。
メニュにある料理の多くを量を押さえ少しづつ供するセットがお勧めです、との説明を
受け、せっかくだからと頷いた。主菜だけ各自の好みで選び、それ以外の前菜から
デザートまで全てお任せのコース、189ユーロ。

まずはカシスの白ワイン割を注文。アミューズ2種を楽しむ。


ここからの7皿が前菜。確かに各皿とも少しではあるが、皿も積もればヤマとなる。
最初は美味しいと言ってたとらだが、

次第に箸(実際にはフォークだか)の進みが遅くなり、

前菜最後の皿はやっと一口半。
その後のとらの主菜、海苔巻きみたいなビーフ・ミディアムレアは一口だけであとは
全く箸が出ず。本人は肉質が良くない、とか主張し、本当だから食べてみろと言うが、
こちらも自分の分だけで精一杯状態、人の分を構う余裕もなく真偽のほどは不明。

いのの主菜 ウサギ 
 
もう一週間分のバターを充分摂った気がし、やや鼻についたが、食べないと日本男子の沽券にかかわる為なんとか8割方食し本日のメインコースやっと終了、といったところで、とらは白旗を上げた。
チーズ、デザートは顔も見たくない、とばかりに席を立つ。
いのは心配するウエィターに「ごめん、ちょっと気分が悪くなったようで...」とか言い訳し、勘定は部屋にね、と言い捨てとらの後を追う。

部屋に戻ったとらのコメント:
「久しぶりの一昔前のフランス料理。塩がきついとかソースが重いとかいう大昔の
フランス料理とは違うが、生クリームを泡だてて作るソースが多すぎ。牛乳分解酵素が足りない私にはきつかった。肉は誰だれさんが特別に選んだ肉と能書きを言っていたが、やわらかくはあるが肉に味がなく本当においしくなかった。弟子はまだまだ!」
と、元気を取戻し、いつもの強気の発言だったので一安心した。

料理の出てくる間隔はスピーディで、そのたびに食材の説明を受けたが、これだけ出てくると何がなんだかさっぱり分からなくなる。日本の懐石だとそれぞれの皿の料理方法が違うので味が立っているが、こちらは食材は換えても調理の仕方でその材料をねじ伏せ、その結果けっきょく似た味になってしまった、というのが私の感想。
チーズとデザートの顔を見れなかったのは少し残念ではあったが、でも結局はそんなに食べることはできなかったと思う。(いの)