消費税についての雑感

サルコジ大統領がこの秋から消費税(付加価値税)を1.6%上げると表明した。4月の大統領選挙を前に、もともと不人気なのに大胆だ、と思っていたが、どうやら背後にはドイツのメルケル首相が糸を引いているらしい。要は財政再建には消費税アップしかないということ。

ギリシャ問題はますます混迷を深めている。たとえ現政権が独仏からの切り詰め案を議会で承認を取ったとしても、次の選挙で反対派が勝ったらどうなるのだろう?
ギリシャの民意が独仏からの押し付け再建案破棄となれば欧州「憂露」は壊れるしかないのか、という不透明さや不安が続く限り円は高止まりし、日本の輸出主導型景気の停滞は続く。

それらはさておき、フランスの消費税は日本と比べると複雑と言うか、もっときめ細かくできている。
基本的には現行19.6%だが、多くの例外品があります。
7% 書籍、絵画等文化関連、サービス等
5.5% 食品や生活必需品
2.1% 医薬品
細かく見ると仕分け方への理解がむづかしい。
例えば通常運賃は5.5%だが、今年の1月から定期や割引券(カルネ)は7%に引き上げられた。
レストランで食事をすると、アルコール飲料は19.6%だが、食事や水・コーヒーなどは5.5%。
以前はレストランでの食事は19.6%だったが、同じ食品でも店内食べると19.6%で、お持ち帰りだと5.5%ではおかしい、ということで論理的統一が図られたとか。
面白いのはこの前ルーブル美術館の食堂で食事をしたら一律7%だった。美術館内での食事は文化関連の出費ということか。
同じ食事でも7%という店もある。これは当店は食品提供ではなく、サービス業だという企業側論理で税率をチョイスできるということなのだろうか?この辺の詳細は新参者には良く分からない。

ひるがえって日本の消費税の議論は5%→10%への一本道。日本の悪い所が出ているようだ。白か黒か、是か非か、神国日本か絶対平和か、という雑で短絡的議論で熱くなっている。消費税増税は不可避でも、米や牛乳などの生活必需品への課税が一気に10%になると、景気後退はもとより生活弱者への影響が大きすぎるとの議論は至極正当に思える。第一諸外国との物価格差は円高とも相まってますます広がり、観光立国はまず実現しないだろう。

課税が複雑になるから、との財務省側の理由で一括課税をするという姿勢はあまりに粗雑過ぎる。消費税導入前は物品税というのがあったと記憶している。自動車や高級時計を買うと15%位だったか。今はなんでも一律5%とはなんかおかしくない?
こちらの19.6%というのはいわば贅沢税と解することもできる。つまり生活に必要性が薄いものは高税率という思想だ。税にメリハリをつけ、最大多数が納得できる税体系を再構築するべきだろう。
フランスに出来て日本にできないことはないはず。遠回りでも品目毎の仕訳と課税基準を明確にし、これから何回も上げざるを得ない消費税の個々の対象をしっかり規定する作業を避けていては広範な合意形成はできないと思う。(いの)