興奮の産直ワイン見本市

ワイン見本市が17区のシャペレ会場で3月23日から26日まで開催されるという情報を得て、ふたりとも絶対行こうと決めた。
日本酒試飲会に行ったり、以前ブルゴーニュでセラーを回って試飲したことはあるが、本格的なワイン見本市は初めてである。特に今回は小規模な畑を持つワイン製造業者の試飲・即売会、パリならではである。

まず、交通手段を検討、帰りはかなりの量のワインを買ってくるという前提だと、階段の多いメトロよりなるべくバスを使いたい。ワインを運搬するにはキャスター付きのショッピングカートを家から引きずっていくことにした。モンパルナスで乗り換えると、少し歩くがバスで行けることを発見。
24日土曜日、10時からだというので9時半に家を出る。

{いのの証言1} 会場への最後の横断歩道を渡る時信号は青なのに、とらは小走りで渡る。早く行きたくて気がはやっているのが良く分かる。

入場料ひとり6ユーロを支払って試飲用グラスをもらう。会場全体を把握しようと歩いてみる。歩くことを前提に運動靴で来たのだがワインフェアはブックフェア、トイフェア、農産物フェアなどと違って商品はせいぜい多くて10種類、一つ一つのブースは小さい。従って全部で15分ぐらいで歩けるのだが、ブースはAからPまで、一列平均で50ブースぐらいあるから800店が出店していることになる。地域やカテゴリーごとに並んでいるわけではなく順番はアトランダム。何の予備知識もないので、ブルゴーニュボルドーを除いた赤ワインとアルザスの白ワインに集中することにする。しかし、たくさんある。アルザスだけで30店以上はありそうだ。赤ワインの方は飲んだことのあるロワール、コート・デュ・ローヌ以外で少し重めのものとランドック、Sud-Ouestに注目したが、これも多い。とりあえず、アルザスの白、リースリングにしぼって2〜3軒で飲む。ちょっとよさそうなところからはチラシをもらう。

← とらのいでたち
 
    各スタンド前にはバケツが置いてある→ 
  試飲したワインを飲まずに吐き捨てるためだ


{いのの証言2} 酔ってはまずい、といのは試飲ワインをなるべく
飲まないよう気を配っていたが、とらは意に介さず全て胃の中へ放り込んでいた。

すきっぱらに飲んだので少しずつ酔いが回り始める。これではいけないと持参したペットボトルの水を飲む。バゲットサンドを売っていたので、それを買ってお腹をつくる。
観察すると混んでいる店とお茶をひいている店がある。混んでいる店をねらうことにする。ABマークのあるビオ・ワインのブースにも注目した。

ワインばかりではなく蒸留酒も少しある。アルマニャック専門のブースではひとなつこい兄さんに自分が生まれた1976年のものを飲んでみろと勧められる。おいしい。しかし80ユーロと高い。高いなあと言うとでは5ユーロ負けようという。よし、それならと答えると、ではこの食前酒もいかがかと勧められる。これは10ユーロ、結局85ユーロをクレジットカードで払う。このお兄さんフィリップという名前で、最終日にブースによって食前酒を追加オーダーしようとしたら、売り切れだといわれた。ボルドーから車で1時間のところなので、ボルドーへ来ることがあったらぜひ連絡を、自分は独身なので30歳前後の日本女性を紹介してほしいなどと言っていた。

そろそろバッグもいっぱいになってきて、酔いも少し回ってきたので、今日はここまで、明日も来ようと近くのクスクス屋で昼食とした。バスを乗り継ぎ、ご機嫌で帰った。

ワイン見本市2日目。この日から夏時間開始ということに気づかず、出遅れてしまい
会場到着は11時。昨日の反省を踏まえ、カタログでブース番号をチェックしてから
行った。比較的知識のあるブルゴーニュとロワールの銘柄を試してみることにする。
だいぶ慣れてきてブースの人との会話もスムーズ。顔を見ると明らかに兄弟だと思うふたり、父親と娘、中年のご夫婦などファミリービジネスという感じが伝わってきて好感がもてる。
チェックしてきたブースだけを集中的に訪問したので、全部
回っても1時間半。しかしおいしいと即購入したのでバッグは十分重い。バス停そばのカフェで昼食、最終日もがんばろうと思う。

最終日。荷物のない行きは電車の方が早いので、地下鉄で向かう。出口でおばさんに声をかけられる。ワイン見本市に行くのかと言っているようである。うなずくと招待券を出してきて2名分10ユーロで買わないかとダフ屋もびっくりするような売込みである。しかし正規に購入すれば12ユーロ。
このおばさんから買った。
会場内の食べ物はたいしたものがないので、売店でサンドイッチを買って準備万端で会場へ。この日は赤は重めのSud-Ouestのカホール、白はボルドーの辛口アントル・ド・メールにしぼった。だいぶ専門的になってきた。それに初日に買ったアルザスの白を自宅で飲んで比べた結果、これですよというものをまとめ買いしようという作戦である。アルザスのブースで聞くと24本買うと送料がただとのことである。リースリング
12本、Muscatを6本、ピノ・ノワールを6本、スパークリングを3本、蒸留酒を3本まとめ買って全部で30本290ユーロ、一本当たり平均は送料込みで10ユーロ以下である。1週間で届くとの事、後先考えずに買ったがどこに置くか問題だ。

最終日、宅配窓口にまとめ買いした人々が並んでいた。

{いのの証言3} 買って帰る本数;初日8本、2日め9本、
最終日11本!いのも最終日は全て残らず飲み干していた。


まとめ:自宅に帰って、3日間で買ったワインを整理、産地と
値段をチェック、ワイン屋が開けそうである。買った本数は
ワインだけで24本、全て5ユーロから9ユーロの間である。
そのほか食前酒2本、アルマニャック、カルヴァドスも買った。市価の半値、日本で買う1/3かと思うと満足度は高い。
在職中いろいろなフェアに行ったがこんなに興奮したフェアは初めてである。
一番退屈なのは東京ブックフェアだった、かな。(とら)