オペラ座へはゲタで

パリへ来てからオペラ座は3回目、到着してすぐのバレー・シンデレラ、2月の寒い夜のリゴレット、そして今回のドン・ジョバンニである。
3回ともバスティーユ。雰囲気は昔からのガルニエの方がいいが、
今年の演目はバスティーユの方がいい。

日本でオペラを見るととにかく高い。日本の歌手のレベルも上がってはきているが、やはりオペラの本場はヨーロッパ (このごろは金に
あかせてNYメトロポリタンとの噂もあるが)、パリに行ったらオペラを絶対に見ようと思い、日本ですでにパリ・オペラ座会員となっていた。会員になれば
切符の予約が楽である。予約開始日は劇場窓口よりネットの方が先なのだ。
バスチーユ広場   オペラ座

バーコード付き予約券をダウンロード印字して持っていけば手数料もいらないし、切符が届いたかどうか心配することもない。


毎回、もちろん着物で臨んでいる。オペラ座のドレスコートはムチャクチャ自由である。タキシードの人もいれば、ジャンパーもいる。女性もジーンズもいれば、ドレスアップ
したマダムもいる。今回は春らしいピンクの付け下げにした。日本では歌舞伎座はゲタはダメ、草履でなければとか噂されているが(真相はkimono Gallery 妟=kimono-an.comのブログをみてね)オペラ座ではそんな規定はない(あたりまえか)。
地下鉄でオペラ座に行く我々にはゲタ (といっても結構おしゃれなもの) の方がパリでは実用的、しかしこの日は足を踏まれた。軽くだったので痛くはなかったが、真っ白な足袋にくっきり足形が! それを見た、踏んだ若者は何回もあやまってくれた。
  
席は二階のバルコン、舞台とオーケストラが一望できる良い席だ。
一等席は一階のパルテール(平土間)と二階のバルコンで料金は155ユーロ、歌舞伎とほぼ同じ金額か。

私たちの後ろの席にマナーの悪いカップルがいた。背もたれを足で時々蹴りつける。
非常に不愉快に思い、振り返って睨みつけたが効果なし。そのうち小声で話しては
笑ったりしている。
舞台はドン・ジョバンニが司令官の幽霊に 「今までの行いを改めるか」 と詰問され
「ノー」と断言するクライマックスが近づいている。バカップルの男はいのの背もたれも蹴り始めた。そこで振り返ったいのが日本語で一喝 「うるさい」!
カップルはそそくさと席を立って帰っていった。あとで後ろの席をみたら、席の下に
シャンパングラスが、席に酒を持ち込んで飲んでいたらしい。
 
オペラはイタリア語、字幕がある。それはフランス語。「ボンジュルノ」と歌っていると
字幕は「ボンジュール」。プログラムもイタリア語、フランス語対訳である。
内容の詳細は把握できないが、モーツァルトの音楽には変わりない。
今回の公演は舞台装置・衣装を現代に置き換えていた。演出家の意図はいまひとつつかめなかった。従来と違った舞台を見せたかっただけなのか?
いのは衣装代の節約ではないかと言っていた。(とら)