シャガール美術館

予約したホテル、メルキュールに荷物を預けるべく立ち寄るとまだ14時前なのに
チェックインできた。身軽になり、空港にレンタカーを戻し、直行バスでニース駅に戻る。地図で調べると1km弱の所にシャガール美術館があるので徒歩で向かった。

1887年東欧系ユダヤ人として帝政ロシア時代のベルラーシ(ロシアとポーランドの間に位置する)で生まれたマルク・シャガールは、第二次大戦後の1947年亡命先の
米国からパリに戻ると、フランス国籍を取得し南仏ニースに移住する。シャガール
親交のあった小説家にして政治家のアンドレ・マルローはガルニエ・オペラ座の天井画をシャガールに依頼。これは1964年に完成。
2年後シャガールは17点の連作 『聖書のメッセージ』 をフランス国家に寄贈した。
文化相マルローはこの連作を含むシャガールの作品を展示するための国立美術館の建設を推進し、ニース市が土地を提供する形で、1973年画家の86歳の誕生日に、国立マルク・シャガール美術館が開館した。
ということで旧約聖書を題材にした
大作が広々とした大ホールにずらり
と並んでいる。


失楽園(Paradise Lost) エデンの園を追われるアダムとイヴ

出エジプト紀(Exodus)  海が割れ、天使がユダヤ人を導き、
追う赤色のエジプト兵士は雲に阻まれている。

よく白い雲が描かれているが、ユダヤ教では神を直接描くのは禁じられているので
白雲で代替し象徴している、ということを初めて知った。

これはシャガールには珍しい赤色トーンだ。 
逃げまどう流浪の民ユダヤ人の苦しみを
怒りの赤で現わしているのだろう。


シャガールはステンドグラス作家でもあり、ランスの大聖堂が有名だが、この美術館のコンサートホールには天地創造をテーマにした3枚組が飾られている。

一番右のステンドグラスには光をテーマに天地創造の最初の4日間が描かれている。

「1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)を創った。 3日目 神は大地を創り、
海が生まれ、地に植物を生えさせた。
4日目 神は太陽と月と星を創った。」ここまでが右側。

中央は天地創造の5・6日目が表現されている。
「5日目 神は魚と鳥を造った。 6日目 神は獣と家畜を造り、神に似せた人を
造った。」天地創造の一番楽しい部分。

3枚目

















3枚目のステンドグラスは天地創造7日目「7日目 神は休んだ。」
話が短いのでステンドグラスも幅が狭い。
この3枚組は一見の価値あり。ブルーが美しい。

晩年のシャガールの観念的というか説明調の重い絵は個人的には好みではない。
1920年代に描かれた、サーカスをモチーフにした作品だけが彼らしい甘さを
漂わせる、私には馴染のある作品だった。(いの)

Musée National Marc Chagall
Avenue Docteur Ménard 6000 NiceT
電話 04 93 53 87 35
入場料 7.5ユーロ