オペラ・ガルニエ

オペラ・バスティーユができる前、パリオペラ座はひとつ、ここガルニエ宮のことだった。
パリに来るたびに時間があれば見に行っていた。当時の新作オペラでアルビジョア
十字軍をあつかったモンセギュールの悲劇を見たのもここだったし、ヌレエフの白鳥の湖も見ている。オデット姫がかすんでしまうマニュエル・ルグリの王子とヌレエフの魔法使いのデュエットはすごかった。
ゴージャスな雰囲気と質の高い音楽・バレーは驚きだった。
しかし、1990年オペラ・バスティーユこけら落としの後、オペラはめったにガルニエではかからない。今年はバレーもこれといった演目がなかったので、いつも行くのは
バスティーユ、いのは一回もガルニエの中に入ったことがないというので、良い出し物があればと思っていたところ、人気オペラとはいいがたいが、「チェネントラ」がかかる
ことになった。作曲はロッシーニ、ストーリーはシンデレラなので、シャガールの天井画見物を兼ねていくには最適と、、ちょうどパリに滞在予定のN氏と従妹のみいと4人分マチネーを予約した。

いつみても堂々と立派なオペラ座正面。
1875年に完成したオペラ座オスマンとナポレオン3世のパリ改造計画のうちの一つであり、1860年の建築コンペでエントリーした171人のなかから当時無名だった35歳のシャルル・ガルニエが選ばれて建築にあたった。
いわゆる「ナポレオン3世スタイル」の建築で金を多用している。
    
中央ロビーから中央階段を上がる。

桟敷席を選んだ。古いオペラ座は平土間よりも雰囲気のある桟敷席がいい。

舞台全景。舞台には450人が上がれるという。
客席が2200だから、客4人に演者1人の割り合い。

シャガール天井画、右端にみえるのがオペラの怪人でも有名な大シャンデリア。
重さは6トン以上。

この天井画のタイトルは「夢の花束」有名バレーやオペラの場面が描かれている。
シャガールの甘い画風が金ぴかの周りのインテリアに意外に合う。


ゴージャスなナポレオン3世好みの金色の内装。

幕間に2階の回廊を歩く。宮殿の舞踏会の間のよう。

しかし、パリオペラ座の人々はガルニエもバスティーユもかわらない、
自由な格好である。

マチネーなのでさすが日の短いパリでも幕間の時間まだ外の景色が良く見える。

ストーリーはシンデレラであるが、オペラは継母ではなく継父、魔法使いの代わりに
王子の家庭教師が姿をやつしてチェネントラ(シンデレラ)の家を訪れる。彼女が虐待されてこき使われているところは同じ、しかしチェネントラは結構自己主張もあり、舞踏会に私も行きたいと堂々と述べる。王子とは舞踏会であうのではなく、家庭教師からの
情報で、これも従者に身をやつした王子がチェネントラの家を訪れ、お互いにひとめで惹かれあう。
ところで、この王子はなかなかこっこよくいかにも王子様というイメージであるが、対するチェネントラはちょっと太目、最初継母かと思った。さすがに歌唱力はあったが、この役には見てくれも大切なのではないか。
カーテンコール、中央がチェネントラ、左右に王子と継父。

中央階段を下りる。12時の鐘でシンデレラが走り下りた階段を思い出すのはまだ
ストーリーの中の気分か。

外に出るともう暗い。CDを発売した若者たちがプロモーションの演奏をしていた。

オペラ座の夜景。

食事に行くにはちょっと早いが出直して来るほどの時間はない、ということで近くの
ホテルリッツのバー・ヘミングウェイに行こうと衆議一決、しかしリッツが見つからない。そんな馬鹿なと引き返してヴァンドーム広場をくまなく歩くと、リハビリ中につき閉鎖との看板を見つけた。リッツもリハビリをするんですね。(とら)