今年最後のオペラ観劇

パリではオペラを見ようとオペラ座の会員になり、せっせと通った結果、滞在中パリで
7回、南仏の音楽祭で2回、その後ウィーンで3回と計12回もオペラを観てきた。
今年最後のパリ・オペラ座の演目は「カルメン」だがさすが人気オペラ、なかなか予約がとれなかったが、毎日ネットをチェックし続けついにある日チケットが2枚出たのを
見つけ即申し込んで席を確保した。

バスティーユ広場もクリスマス仕様

カルメンの大きな看板がかかっているオペラ・バスティーユ

クリスマスツリーがあっても、幕間の人々はいつもの気軽なかっこう。

パリオペラ得意の現代の衣装と斬新な舞台装置。ミカエラは自転車で登場する。
カルメンマリリン・モンローのよう、エスカミリオはサングラスをかけて登場し
プレスリーを思わせる。さすが最後は闘牛士の衣装になったが。カルメンと言えば
オペラの代表作であり、人気の演目だ。知っている歌ばかりで楽しめるが、出演者に問題があるのか、オーケストラに問題があるのか、ここまでおもしろくないカルメン
見たのは初めてだった。何故チケットがとれないほど人気があったのかと考えてみると、歌がフランス語であることに思い至った。フランス人もイタリア語の歌より自国語の分かりやすいオペラを観たいのは当然であろう。

唯一よかったのはミカエラ、この人はうまかった。カーテンコールでカルメンとドン・ホセにはブーイングが。最後のオペラで初めてのブーイングを聞いた。

ヨーロッパ滞在最後のオペラはドイツ・ベルリン・オペラの「椿姫」だった。着物を入れたトランクがトラブルで到着しなかったので、ホテルのコンシェルジェにオペラ座のドレス
コードを確認したら、ベルリンは他のドイツの劇場より自由だよとのこと。パリからの、
着たきり雀のカシミヤのワンピースで雪の中タクシーで出かけた。

ベルリンには3つのオペラ座があるが、伝統あるベルリン国立歌劇場は改築中、
ベルリン到着の日の夜のドイツオペラの椿姫のチケットがネット予約でとれた。ドイツ
オペラは旧西ベルリン唯一のオペラ座であり、パリバスティーユと並ぶ現代的な設備のオペラ座である。パリより座席が広々としており、特にロビースペースが広い。

ドイツのクリスマスツリーはフランスより簡素で、雰囲気がある。

幕間の人々の服装は、ウィーンの正装率より低くパリよりは明らかに高い。

外は雪景色。

椿姫は可もなく不可もなく普通の出来だった。パリで観た現代演出の方が良かった。

これで14回オペラを観たわけだが、日本では知られてない演目の内で良かったのがウィーンでの「シチリアの晩鐘」とパリの「連隊の娘」だった。ベルリンオペラがあまり
面白くなかった大きな理由は字幕がドイツ語で全くわからなかったこともある。反対に
ドイツ語の分かるいのはベルリンでみた椿姫が良かったと言っていた。オペラは内容がわかったほうが楽しめる。日本語の脚本を取り寄せてあらすじを理解しても、アリアの歌詞がわかる方がいい、そのためには字幕がわかるかどうかがキーポイントだ。しかしとびぬけて良い舞台はある。それは出演者にかかっているのは日本の歌舞伎も同じだ。劇場も大切だ。野外オペラは雰囲気はあるが、音響などを考えるとオペラそのものを楽しむには不適切だ。その意味ではウィーン国立歌劇場がぴか一である。字幕も英語がある。それにしてもネット予約は偉大だ。14のオペラ全てネットで予約した。まだまだ入口だがオペラ入門は果たしたような気がする。(とら)