東京からパリを見る

パリから帰国し早いもので、正月をはさんで3週間近くになる。
今日は近所の蕎麦屋で昼酒を飲み帰宅したばかりで気分がいい。
その勢いをかって、帰国後感じたことを徒然なるままに書き出してみようと思う。

・ 東京の外食はパリより高い!
 もちろん価格帯によって違い、1,000円以下(円安となり110円を超える現在価値でいうと9ユーロか)のランチは日本の方が質・量とも圧倒的に安く、かつ選択肢も多いが単品で慌ただしく胃袋を満足させるだけでしかなく、ゆっくりと過ごし食の満足度を得られるレベルの外食店で一人単価2,500円程度と設定するとパリの方が チョイスが多いと思う。それが4,000円以上となるとパリだと高級店となるが、東京だとそこらの店でも軽く5,000円を超す店は多い。してみるとパリは値段と味の満足度の相関関係は比例するが、東京は高い割に美味しくない店が多いと思う。

・ セーヌ河と隅田河
 この二つの河は姉妹の縁を結んでいるが、水量と透明度では隅田河の方に軍配は上がる。加えて橋の下の環境の違いは比較にならない。パリの橋の下は小便臭く、夜は薬の取引現場になるのでは、と推測するくらいに色々なモノが散乱しているが、東京は実にクリーンだ。犬の糞など皆無に近いし。でも東京には公共のゴミ箱が少ないのは不便だ。パリよりテロの脅威は少ないのに「臭いものには蓋」的な短絡的発想が随所に感じられる。更に言えば、日本のお上は民の工夫に寄りかかり、(例えば、何のインフラ 整備もせず突然自転車は車道を走れとか、吸い殻入れも準備せず煙草の路上ポイ捨て禁止とか)上意下達でコトを済ませている事例の枚挙には事欠かない。

・ 民の意識
 フランスと日本の上記のような違いは突き詰めれば民の側の意識の違いに行きつくかも知れない。換言すれば民衆の血で贖って作りあげてきた共和政体と、マッカーサーにより突然授かった民主主義の違いなのだろうか。この前の仏大統領選挙の投票率は80%を超え、この前の衆議院選挙は59%だったことに端的に現れている。意識の違いは歴然としている。公共事業だか補助金頼みをしている限り現況脱却は難しいだろう。

・ 交通機関
 公共交通インフラと価格差をみるとパリの方が上だ。まず基本料金が安い。回数券を買えば一回1.29ユーロ(110円換算でも142円)でパリ中行ける。しかも鉄道と地下鉄をタダで乗り継げる。バスの乗り換えも一定の制約はあるものの原則タダだ。東京はそうはいかない。バスは一回こっきりで200円。営団都営地下鉄とJRの乗り継ぎはカネがかかる。加えてパリのバスはムチャクチャ狭い道路にまで四通八達しているが、都バスはメインの通りにしか走っていない。もう一言付け加えれば、パリのバスの方が親切だ。停留所から少し離れていても呼び止めれば待ってくれるし、おろしてくれる。また車椅子でも簡単に乗り降りできる。都バスの運ちゃんはちょっと停留所から離れると知らん顔で停まってもくれない。そういえばフランスの若者の感心する点は、バスや電車で年寄や弱者が乗り込んでくると反射的に立ち上がり席を譲ることだ。この辺は日本の教育問題に遡ってしまうので誌面の関係でこれ以上はやめておこう。

・ 日常の買い物
 フランスというか欧州では量り売りがいまだに一般的だ。トマト一個、ハム一枚から買える。日本も昔はそうだったのにいつの間にか消えてしまい、欲しくもないのにトマト2個入りパック、ハム5枚入りパックのチョイスしかないのは何故だろう。スーパーの発達だというならヨーロッパも同じだが、いまだに町の小売商店も健在だ。何故日本の商店街はシャッター街になってしまったのだろう。日欧の比較をするのに面白いテーマだと思う。

・ 東京は天気がいい
 お日さまの顔を見ることが稀だったパリの冬、それに比べて東京は日の出を見ることができる日が多い。外は同じように寒いが、太陽、青空があるなしでは気分がガゼン違う。パリでの生活をなつかしく思う日も多いが、天気だけは東京がいい。パリではウール系のセーターを室内で着ることがあまりなかったが、東京では必要。つまり東京の方が室内が寒い。我が家がボロいという訳ではなくレストランでも同一傾向だ。今は同じようなコンクリート建築で密閉度は変わらないはずなのに何故だろう。

・ 永田町のエスカレーターで
 半蔵門線から有楽町線へ乗り換える永田町の長いエスカレーターで反対に下りてくる人々を眺めると、日本に帰って来たんだと実感した。まず当たり前だが皆が黒い髪で、ほとんどが日本人だ。黒人もアラブ人も金髪もいない。ネクタイをしている男が多い。パリではマスクをしている人は皆無だが、東京では10人に一人はマスク着用。日常の服装レベルは圧倒的に日本の方が上、こぎれいだしファッション性も高い。しかし表情が薄くせっかちに歩く人たちを見ていると、ヴァラエティのあるマンウォッチングを楽しめたパリの街がなつかしい。

・ まだまだ色々あるが、今日はこれまで。
 
 そうそう、交流会の件ですが、我々もなんだかんだ落ち着くまでに時間がかかっており、1月は無理っぽいので2月に開催したいと思います。
 2月第一週ないし第二週の土曜日、夕方16時から18時までの2時間、会費2千円以内を目標にし、場所は我が家のある東京・佃あたりで挙行、と企画しています。
 参加ご希望の方は1月20日までに当ブログに応募してください。その際、連絡先のメールアドレスもお願いします。参加者の多い方の土曜日に開催し、参加可能の方にだけ詳細を連絡いたします。数人でも集まれば実現したいと希望しておりますので手を挙げてくださるのをお待ちしております。(いの+とら)