オペラ・ガルニエ

同時期にパリ滞在を予定していた京都在住の友人アイさんとパリに行くなら一回はオペラ座(ガルニエの方)に行こうと日本にいる時から決めていた。
オペラは今ではバスティーユでやることが多いので、ガルニエの演目は主にバレーである。
オペラ座ホームページで滞在中の演目をチェックするとあまり好みのものがない。
かろうじてクラッシクコンサートかと値段を調べてみると2階ボックス席最前列で
60ユーロである。オペラだと160ユーロぐらいするので、お得な値段設定である。
演奏曲もチェックせず、これを9月中にネットで予約、チケットを自宅で印刷して
持参した。

夕方7時半開演、冬時間なのでライトアップは終了。

正面の扉からカーペット敷きの大理石の石段を登る。いつ来てもゴージャスな
雰囲気、パリ・オペラ座に来たんだという高揚感が味わえる。

入り口から螺旋状の大階段に広がる巨大な空間。思わず見とれてしまう。

オペラ座の雰囲気を味わうためか早めに来てドリンクを頼んでいる人たちは、


グラス片手に天井を見上げている。

席に着こうとすると扉を開けてくれる案内係がもうちょっとゆっくり見学しては
と薦めてくれた。
モザイク、彫刻、金箔であらゆるところが飾られている。

いわゆる天井桟敷は5階となるが

我々は2階のボックス最前列

ボックス席は3列あり後部席だとかなり見にくい。


マルク・シャガールの天井画と大シャンデリア。

これを目当てに日中の館内見学ツアーに来る人もあるオペラ座の超目玉。

ところで今夜は、フィリップ・ジョーダン指揮のコンサートというだけで予約。

なにしろ観光目的なので演目の詳細はパンフをもらうまで
知らなかった。
舞台配置を見ると、どうやら四重奏らしいと気付く。


第一部はアーノルド・シェーンベルグの四重奏曲に合わせたシュテファン・ツバイクの詩がソプラノ歌手により朗々と歌われる、というより朗読に近い。
第二部は六重奏+ピアノ+ソプラノ独唱でオットー・ハルトレーベン作詞の「月枕」という不思議な連作詩が延々と続く。
詳しくないので良く分からないが珍しいジャンル、演目だと思うが、満席だった。
この演奏の感想を述べるのはむずかしい。
例えてみれば琵琶法師の語りか能に近い印象だった。音楽をバックにした語り。
ドイツ語の語りは鬼気迫る迫力で、何故か冬の恐山を連想させた。
あるいは大学時代ラボで聞いた赤ずきんちゃんのメルヘンを恐くした感じ。

ステージのバックは緞帳、劇的な雰囲気を出している。

日中10ユーロの見学ツアーもあるが、観光客しか周りにいない館内をガイドに
先導されてうろつくより、比較的安いコンサート観劇の方が雰囲気を味わえ、
オペラ座見学観光としては良い方法なのではないか。

外は珍しく晴れ、満月に近い月が輝いていた。(とら)