お掃除システム確立

在職中は掃除は週1回か2週間に1回、専門のお掃除会社に依頼していた。というのは私はちょっと掃除が苦手、やたら凝り性なのでついつい細部に目が行ってしまい、ドアノブを磨いていたら30分たってしまったとかいう始末で短時間でささっと全体を掃除することができない。年金生活者になったからにはと東京にいた1か月はお掃除会社を断り、夫婦で協力して掃除をしてみたが、今まで掃除から解放されていた「いの」は不機嫌。

パリに到着して、Aさんがきれいにお掃除してくれていたアパートに入ったが、一段落してダンボールが片付いたところで掃除したが、いくつかの問題点が...... アパートはメゾネットだが掃除機はひとつ(広さが60㎡なのであたりまえかもしれない)なので掃除機を持って階段を上り下りしなければいけない、床はほとんど絨毯なので掃除機をかけるのに力が必要、(日本ではフローリング) 備え付けられている洗剤のラベルがフランス語なので(当然か)どれがなんだかさっぱりわからない。

クリスマスイブに友人の画家Sさんの家に招待され、彼女の娘さん一家と一緒に食事をしたとき、その話をすると、娘さんはお掃除を外注しているとのこと、フランス生まれでアメリカ人と結婚している娘さん=T嬢(もう奥さんだけれど私から見れば嬢さんなので)は「日本人はお掃除がヘタ。私はポルトガル人にお願いしているが短時間できれいにしてくれて値段も安い。よろしければ紹介しますよ」とのこと。試しに一回お願いしてみる。

やってきたポルトガル人女性はフランス語はできるが英語はダメ。こちらはフランス語はダメ。洗剤を全部並べ、そこから選んでもらってスタート。身振りでアイロンかけは必要ないのかと言っている様子。頼めばアイロンもかけてくれるらしい。(私はアイロンかけも苦手)コレはないか、アレはどこかと身振り手振りでなんとか意思を通じさせ2時間でお掃除は終わり、きれいになったのでまた来週も頼みたいとカレンダーを指さして日にちを確認。最後にNHK大河ドラマで覚えた唯一のポルトガル語「オブリガード」というと「デ・ナーダ」と答えてくれました。

翌週2回目、1時間50分ぐらいたったら、何かフランス語で言っている、たぶんもう今日は終わったから帰ってもいいかと言っているのではと勝手に考えて、「フィニ?」と聞くと何か懸命に訴えている。ラチがあかないと思ったのか紙に書いて渡してくれたが、手書きが読みにくく、一緒に辞書を引いても意味がとれない。仕方なくT嬢の携帯に電話、その結果「この家には必要なお掃除用品がない。何々と何々と何々を買って欲しい」ということだった。たぶん紙には「お掃除用品」と書いた様子、でもそれがわかっても、それ以上は我々のコミュニケーション能力では話が進まなかったと思われるので、T嬢に助けを求めたのは正解。余分にお金を渡して次の回に来るときに買ってきてもらうことにした。

3回目、必要なお掃除用品とは洗面所・台所のタイル張り部分をふくモップでした。また雑巾もタオルを切ったものを使ってもらっていたのですが、それは家具とかドアをふくために使っていたようで、床をふく雑巾が必要だったようです。フランス語では床をふく雑巾と家具をふく雑巾では名前が違い、厳然とした区別があるようです。

 買ってきてくれたお掃除道具

それで代金は時給10ユーロ。プロにお金を支払って私が何かを頼もうとすると(たとえばコンピュータの設定を1万円で某社に頼むとか)、それなら半額でオレが請け負うという「いの」からも半額でオレがやるというオファーはなし。日本で頼んでいた時の約3分の1以下という費用なので、1年間お願いするつもりです。(とら)