3.11.続

トロカデロでの追悼集会はまだ明けやらぬ薄闇の中で始まった。
黙とうの前に高田ケンゾー氏から世話人代表として挨拶があった。

「一日でも早い復興によって
回復されますようにとの祈りと連帯の気持ちを、共に分かち合いたいとずっと考えてきました。





地球の裏側に住む私たちは、被災地まで行くということはできないし、直接その想いを伝えたり、現地でお手伝いすることも、本当に何も出来ません。
しかし、同じ日本人としてその痛みを分かち合い、そして早い復興を念じる気持ちを、被災した皆さんにお伝えしたいと思いました。
その祈りは通じないかもしれません。でも通じたい、絆を持ちたいとの思いで静かに
祈りたいと思います。」との趣旨であった。

仏人通訳が「通じたい」を「コミュニカツィオン」と訳していた。
ちょっと違うんだよなー、との感想を持った。

黙とうの後、
一人ひとり菊の花を一本づつ
頂き献花した。
皆フランス式に腰を折り膝まづいて手をあわせている。





ノートルダム寺院で十字を切る仕草を見よう見まねでやっている日本人参会者を見た時の、ちょっと違うんだよな、との違和感と同じものを感じた。
で、周囲が膝まづいている中で、一人だけ立ったまま2礼2拍手1礼の神道式礼拝を
したら、報道カメラが向けられた。

帰宅した8時のテレビニュースのトップはやはりフクシマだった。
BBCは天皇皇后の挨拶を細かく通訳報道していた。
英スカイニュースは、アナウンサーの背後にサンライズのロゴを作り、日経平均が1万円を回復したニュースと引っかけていた。
アナウンサーが「この惨事 a disaster からの教訓は?」とユネスコの識者に質問をすると、彼は「一つじゃないよ、三つの大惨事が重なって not a disaster but triple disasters ...」と強調し、自然災害が工業・技術設備へ思わぬ被害を及ぼすことが
あり得る、それへの備えが必要うんぬん、と語っていた。
フランスのチャンネルは、天皇の挨拶を報道した後、原発反対のデモの様子と行進者へのインタビューをやっていた。
原発依存度75%というフランスの問題意識を垣間見させ、英国とは一味違う感じが
出ていた。

結局トロカデロでの日本人集会の報道はなかった。 残念。 (いの)