フランス 滞在ビザ取得の顛末

パリで1年間生活したいと計画した時の一番の問題はビザだった。
3カ月以内の滞在だと日仏の相互条約でビザは必要ない。したがって3カ月ごとにEU以外の国、例えばスイスとかアフリカのどこかに出国してまたフランスに入国すれば
ず〜っといられるのかとも考えたが、どこかの時点でのフランス再入国の時チェックされ入国拒否となる可能性があるとの指摘を受けた。
しかしフランスのビザ取得はとにかく大変である、不愉快な思いをする、と在仏経験者も在日フランス人も口をそろえて言うのである。

まず最初の関門は在日フランス大使館。
ものすごく仕事が遅く、お役所的で不親切とのこと。
そしてビザがとれ、フランスに入国してから移民局へ出向かなければならない。
1日ががりで、なおかつフランス語しか通じないとのことである。
とにかく時間がかかる、こちらがフランス語ができないため相手がえらそうに感じて
不愉快になるということらしい。

まずやってみようと去年の8月にメールで、3カ月前から申請できると書いてあるが
それは12月21日にフランス入国の予定の場合(飛行機の予約を先行しておいた)、
9月1日からかそれとも9月21日からかと聞いてみた(電話の問い合わせにはいっさい応じないとホームページに書いてあったので)。しかし全く返事はこなかった。
そのうち時間がたち9月下旬にまず「とら」がビザ申請の予約をとり、書類をなんとか揃えて指定の時間に広尾のフランス大使館へ出向いた。10時半という指定時間だったが11時半になっても呼ばれない。その日は9時半に避難訓練があったとかですべてが遅れていたらしい。
しかし窓口の日本人スタッフは親切で、書類の不備を指摘してくれ、追加と言う形で配偶者の申請と一緒に提出してほしいと言われた。申請料金は99ユーロ。

追加書類をそろえて、10月頭頃ふたりで大使館に出向く。この時は待ち時間もあまりなく受け付けられた。たしかに書類をそろえるのはめんどくさかったが、裁判の書類などに比べれば普通ともいえる。パスポートを預け、ビザを押印して返却してくれるわけだが、先方からの完了の連絡はない。ネットで受付番号を検索し、出来上がっているかチェックしてから受け取りに行くシステムである。意外と早く10月18日にビザはおりた。

移民局出頭はフランス入国後3カ月以内、それを過ぎるとビザは無効になるということだ。とにかく大変という情報なので、専門家に手続きを依頼し、出頭の日もつきそってもらうことにした。配達証明で必要書類を移民局へ送付するといつ出頭せよとの連絡がある。フランスの郵便事情は10通のうち1通は届かないという噂もあるくらいなので、クリスマスの混雑が終わった年末、書類を出す。1月、2月連絡はない。
やっと2月20日過ぎに3月5日に出頭せよとの通知が! 


午後1時半、バスティーユ広場に近い移民局へ出向く。移民局前には見るからに移民といった人々の群れが並んでいる。映画で見たアメリカに入国する19世紀のアイルランド人のようである。
え〜っここに並ぶの?と思ったら付き添ってくれた人がこの人たちはアポがなくただ並んでいるだけなので、我々は中に入りましょうと案内してくれる。どこに行ったらいいかもわからないので、本当に付き添いをお願いしてよかったと思う。2人だけだったらきっとこの人たちの後に並んでいただろう。
受付で書類のチェック、なんと申請料金が今日から値上げになったとのこと、外で印紙を買ってこいと言われる。すでに張ってある340ユーロ分の印紙に9ユーロを足す。

まず、健康診断、呼ばれた順に身長、体重、視力検査、それからレントゲン室へ、そこまでは比較的スムーズ、しばらく待って医者の血圧測定と問診がある。ドクターは英語でOK。これで健康診断はおしまい。いよいよ一人づつ個室へ呼びこまれ面談である。この待ち時間が長かった。20人ぐらいの人々が待っているのに面談する人はひとりである。このあとフランス語の試験があるとか、フランス紹介映画を見させられるとかいう噂があったので、時計を見るともう4時、何時まで移民局はやっているのかと思う。やっと呼ばれたのが4時半、しかし付き添いと一緒に入室すると提出書類のチェックだけで簡単にビザの隣のページに証紙シールを貼ってくれた。試験や映画はなかった。


これで完了! 昨年9月下旬から6か月弱かかったことになるが、書類集めの時間を除いた実質拘束合計時間は8時間であった。
それほど不愉快な思いもしなかったし、大変だったという感じもなかったが、お金がかかった。ひとり448ユーロである。お役所仕事でえらそうにするより、財政悪化で取れる所からは取るという経済性にめざめたのかフランス! レントゲン写真は記念のお土産に、とくれた。(とら)

私たちが取得した長期滞在ビザの条件を確認しようとフランス大使館ホームページにアクセスしたところ去年は開示されていた情報がない。
今年になってからこのビザがなくなったとも思えないし、大使館への問い合わせ確認はできないので、私たちが要した書類を参考までに以下列挙し記録に留めたい。

* ウェブからダウンロードできるもの
1. 長期ビザ申請書
2・ フランス移民局申請書 Formulaire OFII
3・ 労働しない旨の誓約書

* 自分で用意するもの
4. 申請理由書(フリーフォーマット)その他
5. 証明写真
6. パスポート+身分証明ページのコピー 
7. 経済証明書 ... 銀行もしくは郵便局口座にある300万円以上の残高証明書 
8. 滞在全期間をカバーした海外旅行保険加入証明書
9. フランスでの住居証明書  
10. 戸籍謄本                                   以上