仏大統領選挙に思う

今年は国のリーダーを決める選挙が多い。
台湾、フランス、アメリカ、ロシア、韓国。もしかして日本も?

フランスの選挙は4月22日。これで過半数が取れなければ上位2者での決選投票が5月6日に行われる。
現在は立候補者の選別がおこなわれており、3月初旬の12名から20日までに2名が脱落、そろそろその半分の5名位にまで絞り込まれる予定だ。

候補者の一覧を見ていて、ああこの国は春だなとの感想を持った。

今の季節、フランスは春の息吹が日々感じられる。
新しい芽が出始め、花は勢いよく咲いたと思う間もなくすぐに次の花に盛りの座を譲り、木々は徐々にしかし確実に葉を茂らせ始めている。

最初の12名の年齢分布は、1940年代生まれが2名、50年代は6名、60年台3名、70年が1名。
なんと多彩なことだろう。この多様な年齢分布はこの国が若さ、活力を保持していることの表れだ。加えて、自分より年上なのは二人しかいないことにため息が出る。しかもこの二人はまず正式候補に生き残れないだろうと予測されている。

日本はまだ古い世代の尻尾を引きずっている。明治維新と敗戦時に比較的短い時間で新生日本へ脱皮でき得た理由の一つは、古い世代を断ち切れたからだと言われている。パラダイムが変わりつつある今、残念だがチェンジが必要だと思う。

次は所属する政党の色分け。
左派5名、右派5名、中道派2名、と見事に割り切れる。この国では左右が拮抗している。主義主張がはっきりしているとも言える。右派の代表サルコジ(55年生まれ)は同性婚禁止や移民制限やイスラム教への偏見的政策を、左派の代表オランド(54年生まれ)は富裕層は嫌いだと公言、彼らへの課税強化75%とのビックリ公約をしている。これらの是非はともかく、ダイナミックではある。これで国論が2分しないのは感心する。根っこに宗教と革命共和国の歴史があるせいだろうか。

どこかの国は過半は中間層と言われ、右にも左へも時々の情勢で揺れ動く。情緒的で、主張がなく、柔軟で、顔もないが、その割には教条的な面もある。
フランス人から、日本はミステリヤスな国だとよく言われるが、不思議な分かりにくい国だとは思う。(いの)