フランス大統領選挙ー2

4月21日 大統領選挙前日の新聞に候補者全員の政策が掲載されていた。
候補者の履歴や年齢などは一切なく、政策だけを掲載している。
争点とすべき項目は12。

雇用・失業、 定年・年金、 住宅、 環境・原子力、 安全保障、 移民、
ユーロ・負債、 税制、 保健衛生、 教育、 制度、 社会  

日本との比較でみると、外交という項目がない。アメリカ、中国、ロシア、中東とは懸案がないのだろうか?
外交の基本姿勢は一致している、のならうらやましいことだ。
また経済・産業政策的な項目も見当たらない。基本的に自給自足できている国だからだろう。外貨を稼ぐのは観光やワイン、ファッションなどのブランド系で、ユーロ通貨が他通貨と比べて上下しても絶対的競争力があるから大した問題ではないだろうし。
移民というのは日本では欠落している政策だ。高齢化が進む現在本当は真剣に検討すべき急務のテーマなのに得意の鎖国政策を続けている日本は無策だ。
これらの政策項目への感想は、よく言えば庶民の目線に立っていること、悪く言えば内向きに過ぎるということか。

22日の選挙までには5〜6名に絞られるだろう、との自分の予想に反し10名全員がこの日を迎えた。
昨日の選挙で予想通りだったのはサルコジ(27%)がオランド(28%)にタッチの差で負けたことと、この2人の決選投票になったこと。
予想外だったのは極右のルペンが18%と大幅に得票を伸ばしたこと。4位の極左
メランションは11%に留まった。

さて5月6日が決選投票日だがどちらが大統領になるか?

単純な足し算だと右のサルコジ票とルペン票を合わせると過半数になり、左のオランドとメランション合計でも40%程度しかならない。よってサルコジの勝ちだが、そう簡単ではなさそうだ。
ルペンが昨夜の勝利スピーチ(敗戦ではない)で、投票してくれた若者や農民・漁民に感謝する、と言っていたが、そうした彼女の支持層がサルコジ支持に簡単にスライドするとは思えない。彼女はメーデーの日に態度を明らかにすると言ったのは示唆的な気がする。彼女はスピーチを終えるとフランス国歌を歌いだした。結構うまかった。
下馬評はオランド有利とのことだが、彼が当選すると現経済体制に批判的なのでおそらく株、特に金融関連は下がると思う。
一方サルコジは昨夜「現状に不満があるのは十分理解できる。が、だからこそ実務に強い私しかこの難局を乗り越えられない」と力説していた。なんだか前回自民党民主党を批判したのと同工異曲だ。これからの2週間で彼は政策修正を迫られている。右に寄るのか、中道左派にすり寄るのか。国際協調を掲げている彼としてはどちらも
ジレンマだろう。彼が大統領官邸に戻るのを見たくないというだけで他の候補に投票した人が大勢いるというし、なんとなく四面楚歌にも見える。
個人的には隙のなさそうなマスクのオランドは好きになれない。サルコジがんばれ!(いの)