日帰り小旅行―乗り物編

パリ滞在中の日帰り小旅行、どこへ行きたいか訪ねた時、ベルサイユとかシャルトル、モンサンミシェル等の答えを予想していたが、S+F夫妻の希望はきっぱりヴェルダン。それってどこ? ヴェルダン条約は世界史で習ったことがあるような気がするが……。
第一次世界大戦時の仏独の激戦地で、ドイツ国境に近いところだということだ。地図を見てみると、ルイ16世一家がパリから逃亡して捕えられたヴァレンヌの近くである。国境の近くとはいろいろなことがあるものだ。フランス革命オタクである私はヴァレンヌにも寄れるなら、とヴェルダン行きに賛成した。

パリからレンタカーだと往復520キロ、これは日帰りにはちょっときつい。近くまでTGVで行ってそこからレンタカーをと考えたら、Reimsという町があった。
そこからヴェルダンまでは片道120キロ、このルートに決める。ヴァレンヌ訪問記事を
ネットで検索するとやはりReimsでレンタカーをしている。日本語表記をみるとランスとある。エッ!これでランス、私はレイムスと読んでいた。ランスなら歴代フランス国王が戴冠式を挙げた有名な大聖堂のある町ではないか。
近くのフランス国鉄ショップに行き、レール&レンタカーでパリ〜ランス往復切符と
AVISレンタカーを予約する。レンタカーは20%ぐらい割引になっていた。

当日朝8時58分発のTGVに乗るべくパリ東駅に向かう。ここからはストラスブール
ドイツ中部・南部に向かう列車が出発する。第一次大戦では「西部戦線」に向かう兵士たちが乗車した駅である。

パリ東駅 青の掲示板が出発、緑の掲示板が到着

駅なかのカフェ。パンくずをねらうスズメがいっぱい。エサがいいのか太っている。


← おじさんのテーブルの上でエサを待つスズメ
 

我々が乗車したTGV

殺風景な新幹線とは違って椅子、折り畳みテーブルのオレンジと紫の配色がシック

9時44分ランス着。TGVは思ったほどスピードは出てない。この路線は山形新幹線のように在来線を使っているようだ。
ただノンストップなのでパリから50分弱で到着した。

ランス駅表玄関









駅アンド・レンタなので当然レンタカーは駅のすぐそばにあるはずと探すがみつからない。「レンタカー?」と聞いて5分ほど歩いて着いたところはハーツレンタカー。「エイビス?」と聞いてもわかりませんというジェスチャー、思いついて「アヴィス?」と聞くと駅に戻れとの指示。駅のそばにツーリストインフォーメーションがあったので、ここで聞こうと戻ると先客が2,3名。単純な質問だが、当地では自分の順番が来るまでじっと待たなければならない。
「アヴィスレンタカー」は駅裏にあった。オートマ車が売り切れていたのでマニュアルである。レンタカー事務所の従業員はひとりだけ、頭がパンクである。カギを渡されて自分たちで駐車場ビルに向かう。運転手は「いの」、マニュアルでの運転は20年ぶり位である。フロアシフトタイプのギアチェンジを確認。すると押しても引いてもギアがバックに入らない。いくら前向き志向の一行とはいえ、バックできないのはまずい。レンタカー事務所で聞くしかない。そこまでなら前進だけでも行けるだろうと車を出す。駐車場を出ようとするとチケットがないので出れない。そういえば事務所のパンクはチケットをくれなかった。駐車場管理事務所に電話する。管理人はすぐ来てくれて無事駐車場を出たが、レンタカー事務所に戻るのに一苦労。一方通行がやたら多く反対方向に行かざるを得なかったうえ、なにしろ前進のみである。10分くらいかかってやっと戻れた。パンクを呼び、ジェスチャーでギアが入らないと言うと、教えてくれる。持ち上げてギアチェンジをするという言われてみれば単純なことであった。ナビのTOMTOMをとりつけ目的地に出発、もう11時をまわっていた。

相変わらずいい仕事をするTOMTOMのおかげで、観光は順調。帰りのパリ行きランス発18時43分に合わせてセルフスタンドでジーゼルガソリンを問題なく入れ、駐車場に車を戻し、18時20分にレンタカー事務所に着く。レンタカー事務所は閉まっている。ここまで予定通りにきたのに、そんなバカな! 事務所の扉に手書きの張り紙が「10分ほど席をはずしています」。「エ〜ッ」のけぞる4人。フランス時間の10分なんであてにならない。電話をしようと携帯を出すと電源が落ちている。ピンコードは覚えていない。
F女史の携帯は日本仕様なので国際電話コードはとかおたおたしている間にパンクが戻ってきてくれた。電車には結局ゆうゆう間に合った。席について、自宅から持ってきた柿ピーをつまみに、駅で買った缶ビールで乾杯した。(とら)