モンパルナス墓地

モンパルナス墓地の周辺には、モンパルナス駅、時々食事や美容院に行くババン、
よく買い物に行くダゲール商店街があり、我が家からは徒歩12〜3分の距離にある。
まわりを高い並木に囲まれ、墓苑内も木が多いが鬱蒼とはしておらず、どこか明るい
公園墓地みたいな印象だ。

ここへ来るたびに訪れるのがサルトルボーヴォワールの墓だ。
二人はパリ大学での高等教員資格試験で首席、準首席となり、その後いわゆる事実婚で生涯を共にした。
いのの学生時代は実存主義全盛時代で、大学3年か4年生の時サルトルが我が大学を訪れ特別講義があった。この講演は学校の一番大きい階段教室で行われたが大入満員だったことを覚えている。しかしその内容はすっかり忘れた。


多くの参拝があるらしく、墓の前にはいつも
記念品が多数置いてある。
それは何故かメトロの使用済み切符だ。
この故事来歴は残念ながら知らない。

この墓地に葬られているもう一人の有名人はボードレールだ。
彼も学生時代の縁でしかないが、当時のデカダン学生にとって「悪の華」は仏文
女学生に近づくための必須アイテムだったことは憶えている。

でもこの記念像の顔ではフランス詩人というなんとなく
ふわふわした柔らかい女性的イメージからは程遠くごつい。
しかしこの像の作者が一応、人生とは、と瞑想している
雰囲気を出したかったのだろうとは理解できる。


多くの墓が並ぶが十字架の墓標は決して主流ではない。

屋根付きだったり、ヒト型だったり、よそとは違う工夫を凝らす多彩な墓が並ぶ。

また必ずしも古い墓ばかりではなく、2000年以降の新しい墓も多い。
新旧の入れ替えが進んでいるように見えるが、その仕組みを知りたい。
日本だとカネの切れ目が無縁墓地行きとなるのだが、こちらもそうなのだろうか。

この夫婦とおぼしき墓標はなんとなくほほえましく、そして悲しい。
同年に生を受け、同年に共に没するなんてロマンチックなのか、
それとも交通事故か。(いの)

Cimetiere Montparnasse