セビリヤの理髪師 初日

オペラの初日は特別な日で正装の人も多いと聞いて、
ぜひと予約した。
もちろん私は着物である。セビリアの理髪師なのでスペインを
思わせる赤に黒のレース模様の着物にした。
プログラム売りのお兄さんも気合が入っている。


前回のドン・ジョヴァンニで筋書きをしっかり把握しないで観る喜劇はつらいという経験があったので、今回は東京のF女史から対訳を送ってもらい、予習バッチリで臨んだ。
さて初日の幕間、さっそくロビーに出て着物姿で練り歩いてみた。
タキシード、蝶ネクタイ、ロングドレスの人もいつもより多かったが、ドレス・コードは
自由。半ケツの人もいる。
後ろで英語の会話が聞こえる。とらの着物を話題にしているらしい。
女「きれいね」 男「君もひとつ買えばどうかな」。
けっこう高いんだよ、簡単に着れないんだよ、と内心思ってキモノがインターナショナルになるむずかしさを感じる。



午後9時半外はまだ明るい。
バスティーユ広場の7月の円柱がよく見える。


2幕目フィナーレ近くでサプライズが! 
ジーナをゲットしたアルマヴィーヴァ伯爵が{どんな攻撃に対しても勝利はいつも愛のもの}と兵隊をバックに歌う。
するとオーケストラ・ピットからサッカーボールが投げ込まれた。なんだ、なんだと思っていると伯爵はやおらに上着を脱ぎ捨てる。なんと下にはブルーのフランスサッカーの
ユニフォーム!エースナンバー10番をつけている!投げ込まれたサッカーボールを
指揮者に向かって蹴るふりをするフェイントを見せる。兵士たちは一斉に小さなフランス国旗を取り出し振りはじめる。観客は大喜び。
もしかしたら{勝利はいつも我々フランスのもの}とか歌い替えているのかもしれない。ボールを蹴ったりヘディングしたりして遊ぶ伯爵と兵士たち。みんなけっこううまい。
舞台は廻って、熱帯の植物がうっそうと現れる。これから幸せなふたりは新婚旅行に行きます、めでたしめでたし、というところで幕。

カーテンコールの時にいつもは舞台上に登場しない演出家と衣装担当という裏方が
上がっていたのも初日らしかった。
演目の最初のお目見えということで新しい演出、歌手の出来、装置と衣装など、
服装はさておき初日は楽しいという感想でした。(とら)

Le Barbier de Seville
Rossini
Opera Bastille
Jeudi 24 mai 2012 a 19h30