近代美術館
初めてパリを訪れたのが1976年、その翌年ポンピドーセンターは完成した。石造りの古都にあって明らかに異形の建物だ。
「現代的芸術創造のためのセンター」というのが趣旨だから、企画段階から確信犯的に周囲から浮いたデザインが意図されたのだろう。この建物を初めて見た時、なんで
こんなケバイのを建てるのだろう、と戸惑った記憶がある。
カラフルなパイプは通風、給水、電気ケーブルなどの機能毎に色分けされており、ヒトが通るエスカレーターは赤だ。
以前月の第一日曜に来たことがある。その日は無料とあって、この広いビルをぐるりと取り囲む長い行列に負け、ラーメン屋へ転進したことがあった。
今回はその反省からネットで入場券を買ってから出かけた。切符を持ってるから即入場できるほど甘くはなかった。長蛇の列が2本伸びているが思ったより早く列は進んだ。
自分の数人前のおばさんが係員にはねられた。切符のない人はあっちの列へ、と誘導されていた。散々並ばせておいて向こうの列へ行けはない!と内心憤慨した。
日本だったら行列の最後尾に係員が配置され切符のない人は右の列、切符お持ちの方や団体は左、とか整理するのに、こちらはそんな親切は一切なし!
こうしたサービスの荒さは我われの眼には粗野に写るが、行列に慣れっこのフランス人民はおとなしく従っている。たまたま並んだ列が正解だったので私は問題なく入れた。
4階の近代美術館へ直行し、すぐ5階へ上る。5階は1905年から1918年までの
比較的知っている作品が並ぶ。それ以降の飛んでる作品は4階だ。
所蔵作品は3万点を超え、展示作品は頻繁に入れ替わるので季節ごとに見学に行くのがいいかも知れない。
ご存じピカソ2点
Matisse 「○○嬢のポートレート」 16年作
Kandinsky 「黄・赤・青」 原題はドイツ語だった。1925年作
Fernand Leger 「3人のコンポジション」 32年作
Yves Tanguy 「のろのろとした一日」 37年作
ここにアップするまでダリだとばっかり思い込んでました。
ここからは第二次大戦後になります。
Jean Dubuffet 「アプリコットの香りのホテル」 なんのこっちゃ! 47年作
Matta 「池」 58年
Alain Sechas 「自転車」 83年
Agam 「ポンピドー大統領のエリゼ宮私室をアンチ部屋へ改修」
という訳の分からない題 72--74年
同じフロアの反対側でセザンヌの特別展をやっていた。
セザンヌは好きな画家だ。さあいっぱい撮るぞ、と意気込んで入場した。
今まではフラッシュを焚かなければカメラОKだったのに会場入口の最初の
一枚を撮ったところで撮影一切禁止!と係員が飛んできた。
その貴重な一枚がこれ↓。
セザンヌ 「サンミッシェル 秋から冬」 04年 彼のスタートは点描だったのだ。
このあとも素晴らしい作品がすらりと並んでいたのに撮影できず実に残念であった。
出口の最後の作品「青」の連作の一枚。最後の駄賃とばかりそそくさと盗撮して退散。いい色でしょう!
5階から見た西方の眺望
左が商品取引所、右がサン・テュスタッシュ教会。
遠くにかすむはデファンス地区のビル群。
撮影した中からランダムにアップした作品を制作年代順に並べてみると、戦後の作品は何故こんなのが美術館入りなの、という素朴な疑問が湧くほど我々の周りに溢れている見慣れたタッチやデザインばかりだ。
現代美術がピカソやセザンヌから始まったのが良く分かりました。(いの)
なお記載した作品名は私の勝手な直訳調翻訳であり美術本にある確定日本語訳ではないことをあらかじめお断りしておきます。
Musee National d'Art Moderne
Centre Georges-Pompidou
rue du Renard
01-38-47-69-72