南西フランスへ 準備/スタート編

4月の復活祭(イースター)にロワール行ってから早くも2か月、ペンテコステ(五旬祭)=聖霊降臨祭が過ぎた。ペンテコステイースターから数えて第7日曜日=今年は
5月27日、カーニヴァルから始まった一連のキリストの復活を中心とした移動祭日で
ある宗教行事がひとくぎりした。

気候も良くなってきたので、ここで、フランスに来た大きな目的のひとつである、山城跡モンセギュール城登頂を中心に、フランス南西部のシュッド・ウエスト地方(Sud-Ouest)とランドック地方(Languedoc)の旅を計画した。
モンセギュ―ル城はピレネー山脈のふもと、大西洋と地中海の少し地中海よりにある城塞である。1980年代パリ出張の折オペラ座でみた新作オペラがこのモンセギュ―ル城の攻防を扱ったものだった。宗教と政治、そして恋がテーマであったが、音楽は
現代音楽、新作なので筋書きもよくわからない中で、背景の不思議な形をした山に
強烈な印象を受けた。帰国後調べてカタリ派とアルビジョワ十字軍のことを学び、13世紀前半(日本だと鎌倉時代)に清廉な生活を送り、当時の2大権威であったパリ(フランス国王)とローマ(教皇)に抵抗し、火炙りになった人々が最後の拠点としたこの城に
いつか行ってみたいと思っていた。

しかしモンセギュ―ルは遠い、そして不便である。もちろん電車はないのでレンタカーをする必要がある。しかしパリから約800キロのドライブはきつい、8時間はかかりそうだ。そこで、この前ヴェルダン旅行で試したレール&レンタカー方式で行くことにした。南西フランスの二大観光都トゥールーズカルカソンヌにも行くことにして6泊7日の旅程をたてた。パリからTGVでボルドーへはノンストップで3時間20分(586km)、
東京からだと新神戸へ行く距離(589km)だが、新神戸までは3時間弱なので新幹線の方が速い。しかし乗車賃はボルドーまでは73ユーロ、新幹線は14,670円なので半値である。ボルドーでレンタカーをして、トゥールーズ、モンセギュ―ル、カルカソンヌと回り、アビニオンでレンタカーを乗り捨て、アビニオンからパリまで689キロはTGVで
ノンストップ2時間50分、東京から相生までの665キロ(3時間30分)と比較すると
TGVが俄然早い。TGVは路線によってスピードが違うらしい。乗車賃は83ユーロ対15,410円、約半値、やはりTGVの圧勝である。停車駅を考えるとスピードに関しては同じぐらいだが、フランスの鉄道はとにかくまっすぐで平ら、山道もない。もっと速く走れるはずだ。

パリを12時半に出るとボルドー着は16時前。ボルドーに泊まってもいいが、あまり見どころのない街なのでどこかないかと探していると、ボルドーから車で1時間15分程
ピレネー山脈に向かったところに三ツ星レストランがあることを発見した。ミシュランによるとその星の意味は、一つ星=そのカテゴリーで特に美味しい料理、二つ星=遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理、そして三ツ星は、そのために旅行する価値がある卓越した料理ということである。さっそく宿泊とレストランを予約。そして、我が家のそばのSNCF直営店でTGVとレンタカーのチケットを買った。この前AVISレンタカーの場所がわからなかったので、しつこいほどボルドー駅のどこにレンタカー屋があるのか聞くが、駅に行けば分かるの一点張り。無駄な時間=迷っている時間をなるべく
なくそうとするのは日本人だけなのか! この点では典型的日本人であり、地下鉄に乗る時もどの車両に乗れば乗り換えが便利かいつも考えている私たちは当然ボルドーへ発車するモンパルナス駅にも下見に行った。荷物を持ってうろうろしたくない。

予定通りモンパルナス駅に着き、番線を確認して、TGVに乗り込む。

食堂車は
スタンドバーで
軽食のみ。








予定通りボルドー駅に到着。ここまでスムーズである。







出口の表示に従って駅をでる。どこにもレンタカー案内表示はない。
ツーリストインフォーメーションがあったので、自分たちで探し回るよりと聞くと案の定
こちら側ではない、駅の反対側だという。東京駅は八重洲側から丸の内側に行くには北通路しかなく、中央通路・南通路からは行けない。ボルドー駅は東京駅と同じような構造で大回りして反対側へ出る。AVISレンタカーはすぐ分かった。


これから長距離ドライブとなるので車はBMW
オートマが借りられた。

ここでも乗り捨て予定のアビニオン駅の返却場所をしつこく聞き、地図をくれと頼むが、「地図はない、行けばわかる。」との返事、アビニオンでのレンタカー営業所はTGVの駅と在来線の駅の2か所あり我々が返却する予定のTGVの方の住所を聞くが、住所はない、駅構内という返事。営業所の電話番号だけくれた。駅構内というのが実は
曲者だ。レンタカーの住所が駅と同じということは、広大な駅敷地のどこへ車を着ければいいのか分からないとうことである。駅正面側か裏口か、西口か北側か。駐車場は駅周辺にいっぱいある。知らない駅のまわりをうろうろ探すのは嫌だが仕方ない。ナビは住所がなければ入力できないし、何の土地勘もない初めて行く場所へ定刻に無事返却できるのかと不安がよぎったが、フランス人もやってることだし、まあなんとかなるだろうと出発した。(とら)