アキテーヌの三ツ星レストラン

ボルドーから一時間ほどで、小さな村ウジェニー・レ・バンに着く。番地もなくナビに
City Centre と入力しておいたが、そこが目指すホテルだった。
ここのレストランが予約しておいたミッシェランの三ツ星だ。

広大な敷地を持つホテルの庭は美しい。
特にバラ園は白バラメインで統一しており、主張が感じられる。

期待が高まる中、まず食前酒をとサロンに通される。

アペリティフはこの地方特産のアルマニャックを
カシスと白ワインで割ったカクテルだ。



突出し風の小皿が二つ、
いずれもここの菜園で
採れた野菜だ。

120ユーロのグルメ・コースを頼んだ。これには料理にあったワインもついている。
前菜・メイン・デザートそれぞれ3種類の中からひとつ選ぶ。

パンとバターと塩の皿がまずでる。塩がおいしそうだ。



いのの前菜 自家製フォアグラ。
カリカリのブリオッシュとフルーツジュレ添え

とらの前菜 帆立貝と野生のきのことアスパラのクリームソースあえ

最初の白ワインは
ここのワイナリーで
作っているという
トゥルサン

なるほど食材は凝っている。料理も工夫をこらしている。
しかし、塩辛いのである。ワインを飲んでパンを食べて塩気から逃れようとするが、
パンも塩味が効いている。
クリームソース(これが元凶か、海水でもこうは塩辛くないのでは)をやっと半分食べると、若いウエイターが来て、ソースをもう少しいかが?ノン・メルシーと優雅に答えたが、ウエイターは重ねて「シェフ自慢のソースです。もう少し召し上がっていただかないと
ムッシュ・ゲラールが悲しみます」と押し付け営業。客よりオーナーシェフの顔色の方が大切なのか、しかし、ここでノンと言えなかったのでまたソースが増えた。
またワインと水をがぶ飲みしてなんとかしのぐ。

レストランはかなり混んできた。



続いていののメインは鴨の胸肉ロースト、フォアグラ添え。

この地方はフォアグラが名産なので徹底的に
食べさせようという魂胆のようだ。

とらのメインは
サーモンのグリルに季節野菜添え
これも良く塩が効いている。
せっかく添えられた美味しそうな
塩を試す機会もない。

やっとデザート。デザートが待ち遠しかったのは久々の経験だ。
ミルフィユ         白桃のコンポート   プチフルールも付いてきた





12月にパリに着いてからいろいろなフレンチを食べたが、ここまで口にあわなかった
ものはなかった。
1980年代から90年代には出張でよくフランスに来て、三ツ星レストランや、ゴンクール賞授賞式の会場ドルーアンなど高級料理店で食事をしたが、おいしい、また来たいと思ったのはリヨンのポール・ボキューズトゥール・ダルジャンだけだった。
ほかは塩味が効きすぎていたり、脂っこすぎるなど私にとってはうんざりする料理で、続けて食するのはいささか重荷だった。
アキテーヌ地方唯一の三ツ星に来て、うんざり系フレンチいまだ健在なりと認識を
あらためた。(とら)

Les pres d'Eugenie
40320 Eugenie-les-Bains
電話 05-58-05-06-07