セザンヌの足跡を訪ねて

エクザン・プロヴァンはセザンヌの町だ。
1839年にここで生まれ、67歳で死ぬまで、パリに住んだ十数年を除いて、ここで
生涯の過半を過ごした。しかし現在エクスに残る彼の絵はたった一枚だそうだ。

晩年のアトリエは町はずれの住宅地、結構急な勾配の坂の途中にある。
ここへセザンヌは午前と午後、街中の自宅から毎日通ったという。

アトリエの玄関。一階の小部屋が今は入場券売り場となっている。

アトリエは2階。アトリエ内は撮影禁止だったのは残念だが、彼の静物画に出てくる
コップとか果物とかが展示されてあった。大きな窓は北向き。アトリエの片隅が縦長に細く切られており、大作の入搬出ができるようになっていた。「水浴」シリーズはここで描かれ運び出された。
 
水浴の一枚
敷地内にある、どうということのない林の道
だが、この小さな雑木林はアトリエの前に
広がっている。
絵に疲れると散策していたセザンヌにとって馴染の風景だ。

20年ほど前、初めてエクザン・プロヴァンを訪れた時、サン・ヴィクトワール山を見て、「あっ 絵と同じ山だ!」と感激したことを思い出す。
今回も着いた時から見え隠れしている山のことが気になった。セザンヌがよく山を描いていたというビベミュスの石切り場に行ってみようととらが提案。予約が必要だから無理なんじゃないと言うと、とにかく近くまで行けば同じような光景が見られるハズと強く主張する。逆らっても仕方がないのでカーナビに道の名前を入力し(当然番地はない)出発したが、30分ほどで着くはずが行けども行けども見つからない。周りは樹で蔽われ視界も開けず、山は見えない。そのうえ悪路だ。もうこの道はああきらめようと、
やみくもに違う道を行ってみたが、どこまで行っても近いはずなのに山は見えない。
とらは思惑通りに行かないので不機嫌だが、いのは狭く曲がりくねった一車線の道を運転するのに疲れてもっと不機嫌となる。結果が出ないと険悪になり、お互い口をきかなくなる。
翌日エクス最後の日リベンジと、懲りないとらがネットで調べてセザンヌが死ぬ前に
ヴィクトワール山を描いた場所、レ・ローブに寄ってから、次の目的地オランジュに向かおうと提案、またカーナビに入力して出発したが、これまたなかなか見つからない。
こことおぼしきあたりを行き来してやっと一枚撮影できたのがこれ。

レ・ローブからのヴィクトワール山。遠すぎる。

前日ホテルの近くからの
ヴィクトワール山。



結局ホテルのそばで撮影したものが一番よく撮れていました。(いの)