モネの庭園:ジヴェルニー

上野の国立西洋美術館は中学生の時よく通った。そのころ一番好きだったのはモネで、並木道という地味な絵がお気に入りだったが、睡蓮にも魅かれた。
初めてパリに行ったのは今から40年近く前のことだが、オランジェリー美術館の睡蓮の間はルーブルより優先順位が高かった。改装され、より光が取り入れられたオランジェリーにはまだ行っていないが、(モネの優先順位はその後ずいぶん下がった)睡蓮を描いた地ジヴェルニーには花の咲いている晴れた日に是非行きたいと思っていた。
ポイントは晴れた日である。この夏は天候が不順で、寒く雨の日が続き、朝かろうじて晴れていても午後から雨という日も多かった。夏も終わりかけ、睡蓮賞味期限ぎりぎりという晴れの日にモンパルナスのレンタカー屋で当日予約なして車を借りようと出かけたが、初動が遅かったのとレンタカー屋が混んでいたため断念、天気予報をチェックし、一番安い車をその翌日予約した。

ジヴェルニーはパリから西へ約70キロセーヌ川下流になる。天気は快晴、1時間ほどのドライブであと数キロというところまで着いたが、その先の峠道が工事中、山沿いの迂回路を延々と走り、30分ほど余計な時間を費やしモネの家に到着。
同方向に行く車もそんなにいなかったのに、どこからこんなにという位たくさんの人々が入口に並んでいる。大観光地だと実感する。

まず、何はともあれ睡蓮の庭へ、夏の花が咲き誇る庭園を通り抜け、地下道を出ると雑木の向こうに池が見えはじめる。

モネはその晩年約30年間に睡蓮の連作を200点描いたという。
日本風の庭園というが、モネの睡蓮の庭園以外のなにものでもない。日本の名園で
睡蓮をメインにした庭園は知らない。同じく夏に咲く英名も同じロータスという蓮のほうがポピュラーだと思う。蓮は朝開くが睡蓮は午後開く。蓮と較べて地味な花だと思う。
 
モネの家の前の庭は夏の花と初秋の花の競演である。

ダリアとコスモス、みずひき草も見える。

ひるがお、ルピナス、ひまわり

マツヨイグサ フランスで初めて見た。

コスモスとグラジオラス

ルピナス、ダリア、ひまわり

モネの家・アトリエは浮世絵コレクションでも有名である。1876年のパリ万国博覧会への日本の参加でジャポニズムがブームとなり、印象派の画家たちにも大きな影響を与えた。スエズ運河が開通して10年弱、日本の物品が流れ込んできたのだろう。
モネのコレクションは歌麿、広重、北斎と押さえているが、珍しく初期の春信もあった。幕末・明治のきわめて大胆な構図の国芳芳年などはなく、繊細で淡い色調のものが多い。(もっとも退色しているのかもしれない)モネの好みがうかがえた。

ジヴェルニーはモネの終の棲家となった。現在の日本では「終の棲家は有料老人
ホーム」といった論調が多いので、この言葉自体みじめな感じがするので、私はこれ
から建てようと思っている家を「私の死ぬ家」と呼んでいるが、モネはこの家で死んだ。大きくないけれど自分のコレクション、好みの内装で整えられた家、公園のように整然とはしてないが、雑然としたなかに季節を表す庭、お気に入りの睡蓮の池、モネは
幸せな人だったと思う。(とら)

お昼は併設されているレストランのテラスで簡単に。

ランチョンマットは「睡蓮」

野菜スープ

オープンサンド(タルティーヌ)

今回のレンタカーはスマート Smart Fortwo Passion
こちらは6時間とか半日料金はなく、最低一日単位。レンタカー代107ユーロ、これにフル保険をつけて合計132ユーロ。ガソリンは約200km走って20ユーロ。
ハンドルやシート、サスペンションが固く、近場をチマチマ走る想定のシティカーでの
200km近い走行は限界に近く大変疲れた。(いの)

Maison et Jardins de Claude Monet  入場料@9ユーロ
84 rue Claude Monet, 27620 Giverny
電話 02-32-51-28-21

Les Nympheas   スープ@9.2  タルティーヌ@13.6はちと高いと思う。
109 rue Claude Monet, 27620 Giverny
電話 02-32-21-20-31