アンヴァリッドのアイーダ

アンヴァリッドの中庭で野外オペラが行われるという。演目はアイーダ
野外オペラならこれといった選択だ。
ネットでフナックから切符を買い、自宅でプリント。
9時開演だが、前日はこの時刻から急に雨が降り出した。
明日は?と心配していたが、当日は朝方は雨だったが、夕方には日も出てきて、
ひとまず大丈夫、しかしいつ雨が降ってもおかしくないのが、こちらの天気、いのは
レインウエア上下、とらもレインマント、傘も用意した。けっこうな荷物である。

9時はもう大分暗い。
アンヴァリッドの前につくとライトアップされたエッフェル塔がみえる。

高い席(といってもひとり85ユーロ)だったので椅子も折り畳みとはいえ革製、柔らかく座りここちが良い。

満席とはいえないが開演までには結構客席も埋まっていた。舞台はスフィンクス
ピラミッドだが、奥の戦争博物館2階のナポレオン像がちょうどうまく背景に浮かび
上がっている。

ナポレオンの像の下でエジプトがエチオピアに勝利した戦いを背景にしたオペラとは
おもしろい。
エジプト王女アムネリスの女奴隷アイーダとエジプトの将軍ラダメスの悲恋がテーマだが、今回はラダメスに魅かれているアムネリスが良かった。アイーダに「あなたは何でも持っている人だからこの恋
しかない私にゆずってください」と言われても、なにもなくてもこの恋だけはあきらめられないという王女の気持ちが最後の場面まで続いていてストーリーに深みを与えていた。
アイーダは2幕2場の景気のいい凱旋行進曲が有名だ。ローマのカラカラ浴場跡で
見た時には象が出ていた。今回もどのような趣向かと楽しみにしていたが、ここには
工夫がなかった。オーケストラは景気の好いはずの行進曲を押さえて演奏していた。
しかし、それは凱旋の後に続く捕虜を助けようとする凱旋将軍ラダメスと処刑しようと
する神官たちの争いをむしろめだたせえようとするためだったようだ。ドラマツルギーとしてはこの方がおもしろい。
2幕目が終わって休憩、雨こそ降らないがどんどん気温が下がってきているのが感じられる。寒さを防ぐために、ふたりともレインウエアをウィンドブレーカー代わりに着る。
寒さに耐えきれずここで帰ってしまったお年寄り夫婦もいた。
フィナーレは華やかだったが、もう12時、地下鉄に間に合うようそそくさと席を立った。

会場を出ると、エッフェル塔が見え、グランパレへの大きな通りが広がっている。
パリの夜の豪華な景色だ。野外劇の場所にもことかかないパリだが、終わった後の
景色も素晴らしい。しかし、野外のオペラ・コンサートには冷え込む季節になり、
今年はこれが最後だと思う。(とら)