絶品 シーフード

カンヌ泊の翌朝は朝から雨、風も強い。ソファ屋とのアポは9時。ホテルから近いので傘をさして歩いて行く。
デザインを決め、布を選び、価格の交渉をパリにいるアイ嬢の携帯に電話して
助けてもらい、2時間かけて無事ソファの注文完了。
ソファ屋のショーウィンドー。小さな店である。


英語の少しできる主人の妻。
日本の18世紀の屏風絵を飾っている。
自慢らしい。


雨風はますます強く、ちょっとした嵐のようだ。これではチェックアウトをしてホテルから公共駐車場まで傘を片手にカバンを運べない。短時間だが荷物をベルキャプテンに
預け、駐車場から車を出した。なんと料金は38ユーロ、ホテルに預けるのと同額ではないか! 雨の道を歩いた分だけ損をした気分だった。それにしても高い。
東京の銀座の近くでも24時間2500円である。

そろそろお昼。次の宿泊先に向かう途中にある、予約しておいたミシュラン一つ星の
シーフード・レストランに向かう。
カンヌ・ニース間は40キロ弱、小田原・伊東間ぐらいの距離だ。
市町村統廃合で小田原・伊東間は3つの市と2つの町しかないが、カンヌ・ニース間には小さな町や村がたくさんある。レストランのあるカーニュ・シュル・メールもそんな村のひとつで、ルノワールの家やグリマルディ城の美術館等があるが雨のため全て割愛。海岸通りをひた走ると海に面した店はすぐに見つかり、近くの駐車場にも簡単に停めることができた。

カジキのブロンズ像が目印。



二品で25ユーロの今日の定食にしたが、その出来の良さに目をみはった。
とらの前菜  イワシのマリネ

いのの前菜  本日の魚のカルパッチオ

イワシの締め方、塩と酢のバランスが良い。箸(フォーク)が進む。
しかし、本当に素晴らしかったのはカルパッチオ。
サーモンと白身の刺身を細かくタタキ風に刻み、ミルフィーユみたいに軽く固め、上に
ジュレを乗せている。このジュレと魚を一緒に食べると、もう何とも言えない幸福感が
押し寄せる。繊細で柔らかな味とオリーヴをベースにした、しかしほのかなソースの
香りがマッチしている。料理された魚を初めて食べた気がした。
 
風雨の強い悪天候なのに店内は
ほぼ満席なのも納得。


とらの主菜  タラのポワレプロヴァンス風。タラの火の通し具合がちょうど良い。
豆の入ったプロヴァンス風ソースの上にルッコラとパルメザンチーズ。、

いのの主菜  アンコウ 
わずかに感じるクリームベースのソースと淡い白身味がよくマッチしている

添えられた野菜のケーキにまたも感心する。

大根、カブ、ズッキーニ、かぼちゃなどが別々に炊かれ、それぞれに素材の味を
生かした微妙な味付けの仕事がされている。それを一緒に食べるときの幸せ。
盛り付けもきれいだ。京都の割烹でも炊き合わせは別々に炊いたものを同じ器に
盛って出すが、味はみな醤油と出汁のパターンのみ。
ケーキ状に盛り付けてあるのは見たことがない。

さすがフランス料理、手の込んだ工夫が随所に見られた。
今まで魚料理だけは日本が一番と思っていた。しかしこの店の料理に感服した眼で
日本料理を振り返ってみると、極論すれば生の魚を醤油につけるか、醤油や味噌や
出汁で煮るか、塩を振って焼くか天ぷらにするか、位しか思い浮かばす、ソレってここに較べると料理かいな?と思った。
たとえば今日のアンコウ、日本では味噌か出汁での鍋料理や湯がいて友酢、あとは唐揚げくらいか。もっと料理としての工夫はないのかよ!と言いたくなった。
ニースに行くならこの店は絶対ハズせません。(いの+とら)

定食@25  50
サンペレ    9
グラスワイン  9
カフェ     3.8
合計     71.8 ユーロ

Bistrot de la Marine
96 promenade de la Plage/ Cros de Cagnes
06800 Cagnes sur Mer
電話 04-93-26-43-46
www.bistotdelamarine.com