クスクス

出張で来ていた頃、パリの食事で好きなもののひとつにクスクスがあった。
今回の滞在中に是非専門店で食べたいと思っていたが、意外とチャンスがなく、帰国ぎりぎりになってモンパルナスにおいしいクスクス専門店があるという情報を得て、
モンパルナス墓地から近いルスト通りへ向かった。番地を覚えていなかったが、そんなにたくさんクスクスの店はないだろうとそれらしい店構えのレストランに入った。

カフェにレストランが併設されている店で、時にはジャズの演奏もするというなんだか変にマルチな店だった。

しかしクスクスは手作りだと自慢している。
クスクスは小麦粉から作る小さな粒状の粉食であり、これを主食とする料理の名前でもある。スパゲッティとかビーフンと同じように材料名が料理名にもなっているのだ。
デュラム小麦の粉に水をふりかけて指でもみ、小さな粒にしてからふるいにかけて粒の大きさを揃えて作るクスクス粒は一般に乾燥状態で売られているが、専門店では
手作りのところも多いらしい。乾麺か手打ちかのようなものであろう。

クスクスとひよこ豆とアリッサ(唐辛子ソース)が並べられる。

日本の土鍋みたいな容器が出てきた。


ニンジン、ズッキーニ、カブ、カボチャなどの野菜が
ゴロゴロ大きいまま入った熱々のスープ。

それにグリルした肉を選べる。ミックス(ソーセージと鶏)牛肉のブロシェットにした。

具を盛りスープをかけるとこんな感じ。自慢の手作りクスクスは細かくふわふわして
いておいしいが、スープを吸ってふくらむため、いくら食べてもなくならない。
と思っていると突然お腹が張り、もう一口も食べられなくなる。
ゆっくりお腹と相談しながら食べないと危険な料理ではある。

なんとなく甘味が欲しくなり、デザートはタルト・タタンでしめた。
50ユーロでお腹いっぱいは安かった。

その一週間ほど後のある晩、モンパルナス駅に近い生ガキ専門店に行った。この店へは何回か行ってそのたびに休みだったり、いっぱいで入れなかったりしたせいか期待感が高まり、わざわざ予約して出かけたのだがガッカリするほど期待はずれだったので、生ガキを1ダースとグラスワインを飲んだだけで勘定してもらい店を出た。
でも安かった。カキが一個1.5ユーロ、ワイン一杯が1ユーロで合計20ユーロだったが、一人6個の生ガキだけでは流石に腹は不満たらたらで帰れない。
そこでこの前行ったクスクス店と同じ通りの先にある、3種類のクスクスを出すという
専門店を思い出し、ハシゴすることにした。番地にして30番違う。

ご自慢の3種類のクスクス。トラディショナルなものと精製前の小麦粉を使ったものと
黒い野生の小麦粉を使ったもの。もちろん手作り。コメでいえば白米と玄米と雑穀米
みたいなもだ。

グリルは羊と鶏、ちょっと臭みのあるメルゲーズと呼ぶ羊肉のソーセージを盛り合わせた、フランスではロワイヤル=決定版と単品で牛肉を注文した。それらが一緒に盛られてくる。これらの肉は美味しかったが、ちょっと残念なのはスープが我々には少し塩辛かったこと。

そのせいか3種類のクスクス専門店より、最初に行ったカジュアル店の方がシンプルだがスープの味が我々に合い、なおかつ土鍋の保温性に優れ、もう一回行くならこっちだなと思った。(とら)

{ 一軒め }
クスクス・牛ブロシェット  12.5
クスクス・ミックス     14.5
タルト・タタン        6.
アルジェリア・ワイン    10.9
水とコーヒー         5.5
合計            49.4ユーロ

Osmoz Cafe
33 rue de I'Ouest 75014
01-48-18-11-72

{ 2軒め }
クスクス・ロワイヤル    24
 (羊・メルゲーズ・鶏)
クスクス・牛肉       13
サングリア 2杯      10
アルジェリアワイン     12
コーヒー           2
合計            61ユーロ

Le Taghit
63 rue de I'Ouest 74014
01-43-20-25-57